幸福な時間(のりこ)

『幸福な時間』百田尚樹

祥伝社文庫

 

本書の体裁はショートショートとなっており、いくつかの短編の物語が収録されている。

男女の駆け引きを題材にしたものが多く、

どの作品も人間の本質を突いてくる内容となっていた。

今回は「催眠術」という題名の作品を取り上げて紹介する。

 

主人公の男性は会社の同僚に催眠術の仕方を教えてもらい、

自宅で妻に試してみることにした。

しかし何度やっても妻は催眠術にかからない。

やはり素人にはできないのかと諦めかけた時、妻の様子が変わった。

目がうつろになり、名前を読んでも反応が鈍くなった。

催眠術にかかった妻に、主人公は様々な質問をした。

「最も愛しているのはだれだ?」-「あなたです」

「一番最近、男に抱かれたのはいつか?」-「三日前です」

ここで主人公は気づいた。

妻とは十日以上関係をもってないことを。

主人公は意を結して尋ねた。

「その男性の名前は?」-「足立さんです」

なんと同僚の名前だったのだ。

予想だにしなかった事実に驚き涙をこぼす主人公に妻が放った一言は、、、

「        」

 

ここは読んでからのお楽しみにとっておこう。

一つの物語の中で何度も落とし穴にはめられ、

また落とし穴があるかもしれないとわかっていながら作品の中に引き込まれ、

ページをめくる手がとまらなくなる。

最後の見事なオチに騙されることが快感に変わってくる作品であった。

 

古川案

『幸福な時間』(のりこ)
百田尚樹
祥伝社文庫

本書の体裁はショートショートとなっており、いくつかの短編の物語が収録されている。

男女の駆け引きを題材にしたものが多く、

どの作品も人間の本質を突いてくる内容となっていた。

今回は「催眠術」という題名の作品を取り上げて紹介する。
主人公の男性は会社の同僚に催眠術の仕方を教えてもらい、自宅で妻に試してみることにした。

しかし何度やっても妻は催眠術にかからない。

やはり素人にはできないのかと諦めかけた時、妻の様子が変わった。

目がうつろになり、名前を読んでも反応が鈍くなった。

催眠術にかかった妻に、主人公は様々な質問をした。

「最も愛しているのはだれだ?」-「あなたです」

「一番最近、男に抱かれたのはいつか?」-「三日前です」

ここで主人公は気づいた。

妻とは十日以上関係をもっていないことを。

主人公は意を決して尋ねた。

「その男性の名前は?」-「足立さんです」

なんと同僚の名前だったのだ。

予想だにしなかった事実に驚き涙をこぼす主人公に妻が放った一言は、、、

「        」

 
ここは読んでからのお楽しみにとっておこう。

一つの物語の中で何度も落とし穴にはめられ、また落とし穴があるかもしれないとわかっていながら作品の中に引き込まれ、ページをめくる手がとまらなくなる。

最後の見事なオチに騙されることが快感に変わってくる作品であった。

 

 

世の中のカラクリが丸見え!イチからわかるニュース塾(かんとく)

『世の中のカラクリが丸見え!イチからわかるニュース塾』
日経ビジネス人文庫/日本経済新聞社編/2014

増税、GDP、TPP…今、日本のニュースではこのようなワードが飛び交っています。多くの人はこれらのワードがどういう意味なのかは説明できるでしょう。例えば増税なら税金を上げること、GDPなら国内総生産、というように。しかし、“なぜ”増税するのか、“なぜ”GDPというワードが頻繁にニュースに登場するのか、と尋ねられたらどうでしょうか。そのような質問にきちんと答えることができない人に本書はおすすめです。
本書は大学生のイチ子お姉さんと中学生の弟からすけくんとの対話形式で進んでいきます。イチ子お姉さんが、中学生にも分かるくらいのレベルでニュースを解説してくれるのでとても理解がしやすくなっています。また一つのテーマごとに一つ、そのテーマを分かりやすく図示したものもついているのでさらに理解が深まります。しかし、本書のいいところはそれだけではありません。各テーマの終わりに「もっと教えて」というコーナーがあり、大学や高校の先生のそのテーマを深めるためのちょっとしたお話が載っています。例えば「ブラック企業」がテーマのところには時計の登場で長時間労働になった、というお話があります。それは、以前は季節や天候によって始まり、自分のペースで休息を取り終わっていた労働時間が、時計によって区切られてしまったというものです。時計は便利ですが、それがブラック企業を生む遠因となったのかと思うと複雑な気持ちがしました。
ここでは一つのテーマしか挙げませんでしたが、どのテーマも「なるほど」と感じるものとなっています。そのためニュースに詳しい人でも楽しめるものとなっています。
日本の政治や経済に少しでも関心があるのであれば、読んでみてはどうでしょうか。

 

古川案

『世の中のカラクリが丸見え!イチからわかるニュース塾』(かんとく)
日経ビジネス人文庫/日本経済新聞社編/2014

増税、GDP、TPP…最近のニュースではこのようなワードが飛び交っています。多くの人はこれらの意味を説明することができるでしょう。例えば増税なら税金を上げること、GDPなら国内総生産、というように。しかし、“なぜ”増税するのか、“なぜ”GDPというワードが頻繁にニュースに登場するのか、と尋ねられたらどうでしょうか。そのような質問に答えることができない人に本書はおすすめです。

本書は大学生のイチ子お姉さんと、その弟で中学生の、からすけくんとの対話形式で進んでいきます。イチ子お姉さんが、中学生にも分かるくらいのレベルでニュースを解説してくれるのでとても理解しやすくなっています。また各テーマには図が用意されているので、さらに理解が深まります。しかし、本書の素晴らしい点はそれだけではありません。各テーマの終わりに「もっと教えて」というコーナーがあり、その知識を深めるためのコラムが掲載されています。例えば「ブラック企業」がテーマの「もっと教えて」には、時計の登場で長時間労働になった、という内容があります。それは、以前は日の出とともに仕事が始まり、自分のペースで休息を取り、日没とともに終わっていた労働が、時計によって正確に区切られてしまったというものです。時計は便利ですが、それがブラック企業を生む遠因となったのかと思うと複雑な気持ちがしました。

どのテーマも、新聞やテレビで目にするニュースがわかりやすく解説されているので、日本の政治や経済に少しでも関心がある人の入門書としてお薦めできます。さらに、メディアでは扱われないような補足情報も満載なので、ニュースに詳しい人でも十分楽しめます。

 

就活のバカヤロー(きむ)

「就活のバカヤロー」
石渡嶺司、大沢仁 著
光文社新書2008年

 

 わたしは就職活動中の大学生。ある日は企業説明会、ある夜はエントリーシート作り、ある昼は個人面接、そして“祈られる“日々。わたしにとって、「就職活動」とは悲しみの連鎖だ。その連鎖を断ち切れるキッカケがあるかも分からない。淡い期待を抱きながら本書を手に取った。
 わたしの本書に対する感情は2つある。憤慨と納得だ。一度目の読後が前者。そして二度目に読んで納得した。本書の内容は就活生と大学、企業を中心としている。わたしは就活生に属しているわけだ。本書の登場人物として、わたしが感じたことは以下のとおり。
 憤慨編。誰に対する憤慨か。それは著者に対してだ。就活生をバカにするな。そんな感情だ。本書で槍玉に挙げられるような就活生(著者はイタいと表現する)は誇張しすぎだし、そんなイタい就活生にわたしは会ったことはない。ただの一度も、だ。
 納得編。少し日が経ち、本書を再読した。そこでは憤慨はなく、本書の内容に納得ができた。なぜならば就活に対するヒントを感じられたからだ。そのヒントとは、他者との交流にあるということ。本書によると、自大学の人に限らず、他大学や社会人と交流することは就活において役に立つという。大いに納得できた。これ以外にもヒントが多くあった。
 日本の慣習となりつつある就活だが、あらなみか、さざなみか、その時期によって変わる。不測な事態に備え、早め早めに就活対策を講じるのも、1つの大学生活の生き方なのかもしれない。ただそんな生き方をするには、4年間はあまりにも勿体ないとわたしは思う。

秘密 (いとゆう)

<本文最初>

『秘密』
東野圭吾 著

文藝春秋 2001年


小学5年生の娘と妻を乗せたバスが崖から転落。
妻は死亡。
なんとか意識を取り戻す娘。
しかし、娘の体に宿っていたのは
死んだ妻の魂だった・・・。


漫画の設定でよくある、
魂入れ代わっちゃう設定である。
その手の漫画は、魂が入れ替わった両者の描写が多い。

しかし、残された人は?

娘の父、平介が主人公だ。

妻の魂が宿る娘。
妻からしてみれば、もう一度学生生活、青春を生きることになる。

妻なのに娘。
もどかしさと戸惑いながらも続く日常。
次第に大きくなる嫉妬心。
淡々と確実に変化していく時間。

読み進めて気付けば十数年時が流れている、


ファンタジーな設定をリアルに描く。
人間の欲望、行動がとてもリアルであった。
物語中で平介が気持ち悪いとおもってしまう部分があった。
しかし、これも窮地にたった人間の欲望なのか。

休まず一気に読める。
ラストシーンでは、
「秘密」というタイトルに納得するであろう。

 

古川案

小学5年生の娘と妻を乗せたバスが崖から転落。
妻は死亡。
なんとか意識を取り戻す娘。
その喜びもつかの間、娘の体に宿っていたのはなんと死んだ妻の魂だった・・・。

映画や漫画で定番の魂入れ代わっちゃう設定である。
このような場合、入れ代わった張本人である娘と妻にスポットが当てられることが多い。
しかし、ここでは違う。
娘の父、平介が主人公だ。

妻の魂が宿る娘。
妻はもう一度、青春時代を過ごすことになる。

妻なのに娘。
もどかしさと戸惑いながらも続く日常。
次第に大きくなる嫉妬心。
淡々と確実に変化していく時間。

読み進めて気付けば十数年時が流れている、

ファンタジーな設定をリアルに描く。
人間の欲望、行動がとてもリアルであった。
物語中で平介が気持ち悪いと思ってしまう部分があった。

休まず一気に読める。
ラストシーンでは、
「秘密」というタイトルに納得するであろう。

 

ディズニーランドの秘密(こーじ)

『ディズニーランドの秘密』

有馬哲夫 著

新潮新書 2011

私はずっと不思議に思っていたことがあった。それはディズニーランドへ引き込まれるように、何度もいきたがる人達についてである。小さな子供から始まり、小中高、大学生から果ては社会人まで休みがあるとディズニーへいくという話はよく聞く。主に女性が多いが。そして、これは私の周りだけかもしれないが、その中でも年に何回もいく人もいるそうだ。私はこれが不思議でたまらなかった。ディズニーランドはジェットコースターや観覧車等が主の、普通の遊園地ではなく、ディズニー映画やアニメをテーマとしたテーマパークであることは知っている。映画やアニメのストーリーがアトラクションの中に出てくることがディズニーランドの醍醐味だと私は推測している。しかし私の周りの人達は映画やアニメを見ていない人もいる。そういった人達は何に惹かれてディズニーに足を運ぶのか、そして何故何度も行きたがるのか、私はその謎を解き明かすために本書を手に取りました。

結果からいうと、本書からその謎は解けませんでした。本書にウォルトがどういった経緯でディズニーランドを作ったのか、その考えや苦悩。また、ウォルトが亡くなってからどうディズニーは進展していったのか。アトラクションの設計の話。皆さんは最初ディズニーは交通博物館をテーマに作られたことを知っていただろうか。このような我々の知ることのない裏話がのっていた。

私の疑問を解決こそできなったが、ディズニーに隠された様々なストーリーを知ることができた。次は「ディズニーランドの吸引力の秘密」を読みたいと思う。

古川案

私はずっと不思議に思っていたことがある。ディズニーランドのすさまじいリピート率である。小さな子供に始まり、小中高、大学生から果ては社会人まで、その世代は様々である。さらには、1年に何回も訪れるという話まで聞く。私はディズニーランドが乗り物主体の遊園地ではなく、ディズニーの映画やアニメのテーマパークであることくらいは理解している。ということは、そのキャラクターたちやストーリーが、アトラクションの中に出てくることこそ、ディズニーランドの醍醐味だろうと私は推測している。しかし私の周りのリピーターは、映画やアニメを見ていない人もいる。そういった人達は何に惹かれてリピートするのか。私はその謎を解き明かすために本書を手に取りました。

結果からいうと、本書からその謎は解けませんでした。本書にウォルトがどういった経緯でディズニーランドを作ったのか、その考えや苦悩。また、ウォルトが亡くなってからどうディズニーは進展していったのか。アトラクションの設計の話。皆さんは最初ディズニーは交通博物館をテーマに作られたことを知っていただろうか。このような我々の知ることのない裏話がのっていた。私の疑問を解決こそできなったが、ディズニーに隠された様々なストーリーを知ることができた。次は「ディズニーランドの吸引力の秘密」を読みたいと思う。

民営化で誰が得をするのか(はるか)

『民営化で誰が得をするのか』

石井陽一 著

平凡社新書 2007年

経営学部なのに、日本の経済のことも知らないのか。と言われてドキッとくる学生は何人いるだろうか。実は私もその1人である。しかしそんな私も3回生となり、経営学部生という自覚も芽生えてきた。そろそろ経営学部らしい本でも読まなくては、と思い手に取ったのが今回の本である。

私は読み進めていく上で衝撃を受けた。今までの私は、確かな根拠もないのに、民営化すれば規制緩和により企業として成長し、雇用も増え、日本財政の経済をプラスにすると思っていた。日本のすべての人が得をすると思っていたのだ。しかし読んでいるとどうも違うらしい。著者の結論から言ってしまうと、誰も得をしていない。規制緩和による失敗や、リストラの増加。日本の財政赤字の増加など、どう考えても誰も得をしていないのだ。
著書では、過去の例をあげて民営化の検証を行っている。知識が全くない人でも、理解できるような検証の仕方をしているので、専門書より頭に入りやすい。日本の民営化事情について興味はあるが、難しいのはちょっと…という方にぜひ読んでいただきたい。

古川案

経営学部なのに、日本の経済のことも知らないのか。と言われてドキッとする学生は何人もいるだろう。もちろん私もその1人である。しかしそんな私も3回生となり、経営学部生という自覚も芽生えてきた。そろそろ経営学の知識をつけなくては、と思い手に取った本がこれである。

2003年、小泉内閣のもとで郵政事業の民営化が行われた。経営母体を民間に移すことで、国の借金を減らし、規制緩和により企業として成長させ、日本経済を潤すことが目的だった。単純な私はそれに大いに納得した。日本のすべての人が得をすると思っていたのだ。しかし本書によるとどうも違うらしい。

著者は、過去の事例において、@@@の点から検証作業を行っている。その結果著者は、民営化で得をする人はいないと主張する。規制緩和による失敗や、リストラの増加、日本の財政赤字の増加など、どう考えても誰も得をしていないのだ。
本書は、全く知識がない人でも理解できる検証をしているので、専門書より頭に入りやすい。日本の民営化事情について興味はあるが、難しいのはちょっと…という方にぜひ読んでいただきたい。

 

 

「あとでやろう」と考えて「いつまでも」しない人へ(かんとく)

「あとでやろう」と考えて「いつまでも」しない人へ
和田秀樹 全日出版株式会社 2003年
 今日はやめて明日にしよう。あなたは物事の実行をこのように先延ばしにしていませんか?この本はそんな「のろま」の人がのろまを脱却するために書かれた本です。
 著者は「のろま」を心理学的観点から6つのタイプに分けています。「本当は能力のあるのろま」、「完全主義ののろま」、「計画倒れののろま」、「先延ばしのろま」、「言い訳上手なのろま」、「性格的なのろま」の6つです。これらののろまにはそれぞれに対処法があります。例えば「完全主義ののろま」。このタイプののろまの人には完全主義であったり、プライドが高い人が多いです。そのため「仕事が完全でなければ」と考え、どんどん仕事が遅くなりがちです。なので、このタイプの人は「完全でなくていいから、締め切りを守ってみる」ことや、「優先順位を決めて、確実に合格点を目指す」ということが対処法としてあげられます。
 私は、多くの人が上記の6つのパターンの「のろま」のうち一つには当てはまっていると思います。「のろま」の何が悪い、という人もいるかもしれません。今までの日本は終身雇用システムで、「どんな仕事をどれだけしたのか」という中身よりも勤務態度の方が重視されてきました。また年功序列システムもあり、日本は「のろま」な人にとって天国のような国でした。しかし、そのような時代は終わりかけています。時代が変わり、成果主義評価が始まりました。企業は「単位時間当たりに対して、よく働いてくれる人」を残したいと考えているはずです。また、今は景気が良いとも言えず、いつリストラされるかわかりません。そのようなとき真っ先に首をきられるのは間違いなく「のろま」な人です。しかし、「のろま」は完全になおせる物であると著者は述べています。もし自分が「のろま」であると感じたのならばこの本を手にとって見てはどうでしょうか?「のろま」脱却方法だけではなく、トレーニングの方法ものっています。「のろま」脱却は就職に有利なだけではありません。脱却することで自由時間が増え、人生を有意義に過ごすことができるはずです。
古川案

今日はやめて明日にしよう。あなたは物事の実行をこのように先延ばしにしていませんか?この本はそんな「のろま」の人がのろまを脱却するために書かれた本です。

著者は「のろま」を心理学的観点から6つのタイプに分けています。「本当は能力のあるのろま」、「完全主義ののろま」、「計画倒れののろま」、「先延ばしのろま」、「言い訳上手なのろま」、「性格的なのろま」。これらののろまにはそれぞれに対処法があります。例えば「完全主義ののろま」。このタイプののろまの人には完全主義や、プライドが高い人が多いです。そのため「仕事が完全でなければ」と考え、どんどん仕事が遅くなりがちです。なので、このタイプの人は「完全でなくていいから、締め切りを守ってみる」ことや、「優先順位を決めて、確実に合格点を目指す」ということが対処法としてあげられます。

しかしこれまでの日本では、のろま脱却は困難でした。日本の終身雇用システムでは、「どんな仕事をどれだけ行ったのか」という中身よりも勤務態度の方が重視されてきました。また年功序列システムもあり、日本は「のろま」にとって天国のような国でした。しかし、そのような時代は終わりかけています。時代が変わり、成果主義評価が始まりました。企業は「単位時間当たりに対して、よく働いてくれる人」を残したいと考えているはずです。また、今は景気が良いとも言えず、いつリストラされるかわかりません。そのようなとき真っ先に首をきられるのは間違いなく「のろま」な人です。天国から一転して地獄になりつつあります。

しかし著者は、「のろま」は完全に治すことができると述べています。もし自分が「のろま」であると感じたのならばこの本を手にとって見てはどうでしょうか?「のろま」脱却方法だけではなく、トレーニングの方法ものっています。「のろま」脱却は就職に有利なだけではありません。脱却することで自由時間が増え、人生を有意義に過ごすことができるはずです。

大学活用法(だーまな)

「大学活用法」

岩波書店編集部 編

岩波ジュニア新書 2000

本書は様々な方面で活躍している14名がそれぞれの立場と経験から大学に進学する意味について随筆している。大学に進学することに意味はあるのだろうか、どのような大学生活を過ごせばよいのか、多角的な視点で書かれている。

 わたしは本書を読み終えた後2年間の自分の怠惰な大学生活を反省し後悔した。

国際数学オリンピックの金メダリストであり、算数オリンピック専務理事である数学者のピーター・フランクの随筆を読んだとき、自分はこのままでは駄目だと強く思った。「大学時代は自分に付加価値をつけなければならない。また、大学時代はレールを選ぶ時代である。自分の時間はただじゃない。」と筆者は言っている。私は自分の大学生活を一度見直そうと思った。アルバイトばかりしている場合ではない。

本書は大学進学前の高校生に向けた本である。しかし私は大学生、特に講義をさぼり気味な23年生に一読を勧めたい。

古川案

 本書では、14名の著名人が大学生活の過ごし方に関する持論を展開している。それにより私は、2年間の怠惰な大学生活を猛省せざるを得なかった。

著名な数学者ピーター・フランクはこう言っている。大学時代は自分に付加価値をつけなければならない。また、大学時代はレールを選ぶ時代である。自分の時間はただじゃない。」アルバイトに多くの時間を割いている私は、自分の大学生活を見直そうと思った。

本書は大学進学前の高校生に向けた本である。しかし私は大学生、特に講義をさぼり気味な2,3年生に一読を勧めたい。

 

日本人の作法(ゆき)

 

「日本人の作法」

陶智子 著

平凡社新書2010年文章

 なぜこの本を読もうと思ったのかのは、タイトルを見て目次までも開いて、「あーこの本なら、もっと日本人の文化を知ることできるかも」と頭の中に浮ったから、読んでみた。

 現代は日本人が長い歳月をかけて受け継いできたものが、大きくゆらぎ、失われつつあるといわれる。そのひとつが「作法」であろう。作法とは、人を慮る「心」を表現する「かた」。時を経て「かた」が変わっても、変わらない「心」がある。時を経っても変わらない「心」と「かた」もある。しかし、日本人はその大切なものを失われてしまってたとしても、気が付かないまま快適な生活を追い求めて暮らしている。この本は、そういう背景をもって世に訴える本である。

 例えば、箸の使い方言えば、意外に自分の国と似たようなところが多かった。よくバイト先の友達と一緒に焼肉に行くが、お箸で食べるときに一人に「みんなの箸の持ち方って本当にひどいね」と言われた。つまり四人の中でその人しか箸の持ち方が正しくないことだ。そのほかの三人は箸の持ち方なんてどうでもいいじゃないという結論があった。確かにその時の私もそう思った。だが、そのままだと箸の持ち方は正しく後代に教えられなくて、その貴重な文化はいつの間にかみんなに捨てられしまう。

 現在ではスマートフォンの時代であり、レストランなどでの食事中でも携帯電話をテーブルの上に置いている人も多い。中には食べながらメールをする人もいる。一緒に食事をしている人がいるのに、楽しい時間を共有できなくなるだろう。これこそ、人づきあいの作法に反する例である。自分では友達と食事するときになるべく携帯を触らないように。

 実はそういう現状になっているのは日本だけではなく、中国も同じだ。席の座り方、箸の持ち方、人と人の付き合い方などの文化を守っていない。確かに時代がどんどん変わっていくといっても、自分の民族を示す文化は時を経っても変わらないものである。

 日本人が長い歳月をかけて受け継いできたものが失われないため、日本人が元々持っている文化を知るため、ぜひこの本を読んでいただきたい。

 古川案

日本人の文化を語る上で外せないのが「作法」である。作法とは、周囲のことを思う「心」を表現する「かた」のことである。作法は、日本人が長い歳月をかけて受け継いできたのだが、現代ではそれが失われつつあるという。日本人はそれに気が付かないまま快適な生活を追い求めて暮らしている。本書では、そんな状況を世に訴えている。

例えば、箸の持ち方にも作法がある。私の持ち方は正しくないが、それでも構わないと思っていた。しかし本書を読んでから考えると、それでは箸の持ち方の作法は後生に受け継がれず、その貴重な文化は失われてしまう。また、レストランなどで食事中でも携帯電話をテーブルの上に置いている人も多い。中には食べながらメールをする人もいる。一緒に食事をしている人がいるのに、楽しい時間を共有できなくなるだろう。これこそ、人づきあいの作法に反する例である。

このような現状は中国も同じだ。席の座り方、箸の持ち方、人と人の付き合い方などの文化を守っていない。確かに時代が変わっても、自分の民族を示す文化は時を経っても変わらないものである。

日本人が長い歳月をかけて受け継いできたものが失われないため、日本人が元々持っている文化を知るため、ぜひこの本を読んでいただきたい。

 

普通の家族が一番怖い(まなちー)

『普通の家族が一番怖い』

岩村暢子 著

新潮社 2007

 近年の日本の食卓は壊滅状態にあると筆者は危惧している。「破滅する日本の食卓」が本書のサブタイトルだ。主に正月とクリスマスにおける家庭の食卓について調査をし、筆者が分析をするという内容になっている。さらにはアンケート調査(1999年~2000年の第1次調査、2004年~2005年の第2次調査)を実施してその内容を本書に掲載している。

 私は正月の日本の家庭に興味を持ったので主にそれについて触れていきたい。まず私は「なんでお母さんはおせち作らないの?」と聞いてみたところ母からこんな答えが返ってきた。「うちはおばあちゃんの家に行くから自分の家にいる時間ないじゃん。」と。このように祖父母の家に行っておばあちゃんの作ったおせちを食べるから母はおせちを作らないと言うのである。本書にも同じような理由でおせちを作らない主婦が増えてきている。しかし、祖父母がいるにも関わらずおせちを食べずに外食をするという記述も中にはみられる。そのことを母に聞いてみたところ「まあ今では24時間開いてるコンビニとか元旦から営業してるごはん屋さんがあるから家では作らないかもね。」と言ったのだ。さらに「おせちの起源は昔正月三が日にはごはん屋さんやありとあらゆるお店が開いてなかったから日持ちの良いおせち料理を作ってたんだよ。」と教えてくれた。この答えには確かに!と思った。

つまりおせちとは、昔の日本の社会の成り立ちから出来上がった文化なのだと私は気づいたのである。著者はこのような日本社会の変遷を考慮したうえでアンケートの内容を把握していたのであろうか。確かにおせちは大切な日本の文化である。しかし必ずしも現代の主婦たちだけが文化を乱しているとは言えないのではないかと私は思う。

 幸いにも現代の主婦たちはおせちという文化が日本にあることを知っている。その子供たちも知っている。さらにはおせちという文化を子供たちに伝えていかなければいけないという気持ちも主婦たちにはあるようだ。本当の意味での日本の食卓の危機とはおせちという文化を人々が忘れたときではないかと私は思う。

古川案

 本書のサブタイトルは「破滅する日本の食卓」である。筆者はアンケート調査により、近年の日本の食卓は壊滅状態にあると主張している。

私の家はおせち料理を作らない。母親が言うには、祖父母の家に行って、そこでおせち料理を食べるから作らないらしい。本書のアンケート結果でも、同様の理由が得られている。もちろん祖父母の家でもおせち料理を作らない家庭もある。私の母は、元旦から営業している飲食店が増えたからだと分析する。昔は正月三が日に、ほとんどのお店が開いていなかったから、日持ちの良いおせち料理を作っていたらしい。確かにその理由であれば、現在はおせち料理の必要はなさそうだ。

幸いにも現代の主婦たちは“おせち”という文化が日本にあることを知っている。その子供たちも知っている。さらにはおせちという文化を子供たちに伝えていかなければいけないという気持ちも主婦たちにはあるようだ。本当の意味での日本の食卓の危機とはおせちという文化を人々が忘れたときではないかと私は思う。