きみを守るためにぼくは夢をみる(かんとく)

きみを守るためにぼくは夢をみる 白倉由美・講談社・2003

主人公の朔は小学4年生の男の子。朔は自分の誕生日に彼女の砂緒ちゃんと初デートの約束をしていた。しかし、その日に限って朔はなかなか目覚めることができなかった。「もっとねむっていようよ」という声が聞こえるのだ。その声はデートの時にも聞こえてくる。朔は、その声とともに襲ってくる眠気を必死にこらえながら無事デートを終えた。しかし、砂緒ちゃんと別れた後、朔は睡魔に負けて公園で意識を失ってしまう。
しばらくして朔は起き、家に帰ったが、家の様子がおかしい。お母さんは歳をとっており、朔より小さかった弟は朔より大きくなっている。そう、実は朔は数分寝ていたのではなく、7年間も寝ていたのだ。そして家に帰った朔は、7年前と姿・服装が全く変わらないので近所の人に化け物扱いされる。だが、そんな中でも朔の味方になってくれる人がいた。家族、医者のエリクソン先生、そして恋人の砂緒ちゃんだ。砂緒ちゃんは7年間ずっと朔のことを思い続けていたのだ。それは初デートの時に朔が砂緒ちゃんにした約束が元だった。「きみを守るためにぼくは夢をみる」。大人になって砂緒ちゃんを守る夢をみる、そう言った朔は子どものままで、大人になりたくないと言っていた砂緒ちゃんは先に大人になった。
小学生や中学生に特有の「大人になりたくない」という思い。しかしその気持ちとは裏腹に体は大きくなっていき、否が応でも大人になるということを自覚せざるをえない。この本はそんな「大人になりたくない」という子や「早く大人になりたいのになれない」といった子の心の葛藤を朔や砂緒ちゃんを通して描いている。朔と砂緒ちゃんがどうやってその心の距離を縮めていき、そして乗り越えていくのか、読んでいる人を惹き付ける内容のものとなっている。

古川案

(全体的には読みやすく内容も分かりやすい。しかし、最後のまとめは内容が薄くてもったいない。)

主人公の朔 (さく?)は小学4年生の男の子。朔は自分の誕生日に彼女の砂緒ちゃんと初デートの約束をしていた。しかし、その日に限って朔はなかなか目覚めることができなかった。「もっとねむっていようよ」という声が聞こえるのだ。その声はデートの時にも聞こえてくる。朔は、その声とともに襲ってくる眠気を必死にこらえながら無事デートを終えた。しかし、砂緒ちゃんと別れた後、朔は睡魔に負けて公園で意識を失ってしまう。

しばらくして朔は起き、家に帰ったが、家の様子がおかしい。お母さんは歳をとっており、朔より小さかった弟は朔より大きくなっている。そう、実は朔は数分寝ていたのではなく、7年間も寝ていたのだ。そして家に帰った朔は、7年前と姿・服装が全く変わらないので近所の人に化け物扱いされる。だが、そんな中でも朔の味方になってくれる人がいた。家族、医者のエリクソン先生、そして恋人の砂緒ちゃんだ。砂緒ちゃんは7年間ずっと朔のことを思い続けていたのだ。それは初デートの時に朔が砂緒ちゃんにした約束が元だった。「きみを守るためにぼくは夢をみる」。大人になって砂緒ちゃんを守る夢をみる、そう言った朔は子どものままで、大人になりたくないと言っていた砂緒ちゃんは先に大人になった。 (大人になって守る夢を見る、っていうのは意味(真意)がいまいちわからない)

小学生や中学生に特有の「大人になりたくない」という思い。しかしその気持ちとは裏腹に体は大きくなっていき、否が応でも大人になるということを自覚せざるをえない。この本はそんな「大人になりたくない」という子や「早く大人になりたいのになれない」といった子の心の葛藤を朔や砂緒ちゃんを通して描いている。朔と砂緒ちゃんがどうやってその心の距離を縮めていき、そして乗り越えていくのか、読んでいる人を惹き付ける内容のものとなっている。

負けない (ゆき)

「負けない」

 

勢古浩爾 著

ちくまプリマー新書2006年

 

 

自分に負けないために自分にできることは何かとか、何をすれば挫けないかとか、そういった内容を予想するしながらこの本を読みました。最も気に入りたのは第三章の自分に負けないです。

自分に感情の起伏は必要以上にすることはないし、基本的になかなか自分が思ってるようには物事はすすまないので他力の状況を受け入れ、諦めることになってしまいます。しかしその時々で自分ができることを精一杯し、その結果がどうであっても自分には後悔しないことです。それは運や不運もあるかもしれないが、そもそも挑戦することがなければどんな結果もないということです。ですから、どんな環境においても自分に負けてはいけません。
「勝ち」「負け」でなく、「負けない」に止揚ます。といっても、高尚な哲学というより、普通の人でも手が届きそうな人生哲学、処世訓なのであるが、心に余裕を失いそうな時によく効くクスリになります。流されないこと、挫けないこと、本当に大切にしたいこと、そんなことがこの著者独特の語り口で語られている。難解なことが書いてあるわけではないけれど、実践するのは難しいこと。いま生きているだけでも儲けものだという、忘れがちな事実を思い出させてくれる本ですので、この本をおすすめです。

 

古川案

(全体的に内容がわからない。また、「負けてはいけません」ではじまって、「生きているだけでも儲けもの」というのは矛盾している。主張は最初から最後まで突き通さなければならない。)  自分に負けないために自分にできることは何かとか、何をすれば挫けないかとか、そういった内容を予想しながらこの本を読みました。最も気に入ったのは第三章の自分に負けないです。  (この段落は、自分の意見か、本書の主張かわからない。また書いてある内容も意味を読み取りにくい。→)自分に感情の起伏は必要以上にすることはないし、基本的になかなか自分が思っているようには物事はすすまないので他力の状況を受け入れ、諦めることになってしまいます。しかしその時々で自分ができることを精一杯し、その結果がどうであっても自分には後悔しないことです。それは運や不運もあるかもしれないが、そもそも挑戦することがなければどんな結果もないということです。ですから、どんな環境においても自分に負けてはいけません。  「勝ち」「負け」でなく、「負けない」に止揚ます(←意味がわからない)。といっても、高尚な哲学というより、普通の人でも手が届きそうな人生哲学、処世訓なのであるが、心に余裕を失いそうな時によく効くクスリになります。流されないこと、挫けないこと、本当に大切にしたいこと、そんなことがこの著者独特の語り口で語られている。難解なことが書いてあるわけではないけれど、実践するのは難しいこと。いま生きているだけでも儲けものだという、忘れがちな事実を思い出させてくれる本ですので、この本をおすすめです。

「はじめての植物学 植物たちの生き残り戦略」(きむら)

「はじめての植物学 植物たちの生き残り戦略」

 

大場秀章 著

ちくまプリマー新書2013年

 

ぼくが小学生だった頃の話だ。身の回りには植物があふれていた。植木職人だった祖父の作品群は家の庭にところ狭しと並べられ、学校までの通学路にも街路樹や田畑など、至る所に植物があった。その頃のぼくにとって、彼らはただの「植物」だった。

大学4年生の夏が終わる頃、ネブトクワガタ採集へ出かけた。アベマキの樹林やサクラ並木など、いくつもの木々を見て回ったが、なかなか見つけられなかった。そんな夏の暑さも和らぎ、秋に近づく毎日の中、気がつくのは銀杏の香りだ。名古屋市内では、街路樹としてイチョウが植えられ、その実が道端に落ちているのを頻繁に見かける。

ただの「植物」だった彼らが、「アベマキ」や「サクラ」、「イチョウ」に変わった。大学4年生になったぼくは彼らのことをより知ってみたいと思い、本書「はじめての植物学」を手にとった。

本書によれば、植物を構成する基本組織は3つ。葉と茎と根だ。このそれぞれが植物の種によって多種多様な進化を遂げている。本書の特徴は、植物の進化の系統図とも言うべき、植物の多様性を足がかりとして、彼らの体構造を丁寧に解説してくれていることである。

例えば「葉」をひとつとっても、その形は楕円形なのか円形なのか、はたまたやじり形なのか。葉の先端は切形か円形か、はたまた尾形なのか。ユニークな葉達にはじまり、根や光合成、茎にまで本書の内容は展開されていく。

本書読了後、ぼくはより身近な存在として彼ら「植物」を感じられるようになった。大学を卒業し、社会人になった後も、彼らとの付き合いを続けていきたいと思う。

 

古川案

 

(全体的には読みやすく内容も分かりやすい。ただ最後は、「身近」「感じられる」「付き合い」など、あまりクリアではない言葉が多いので、それらを使わない、もしくは具体的にする努力をした方がいい。) ぼくが小学生だった頃の話だ。身の回りには植物があふれていた。植木職人だった祖父の作品群は家の庭にところ狭しと並べられ、学校までの通学路にも街路樹や田畑など、至る所に植物があった。その頃のぼくにとって、彼らはただの「植物」だった。 大学4年生の夏が終わる頃、ネブトクワガタ採集へ出かけた。アベマキの樹林やサクラ並木など、いくつもの木々を見て回ったが、なかなか見つけられなかった。そんな夏の暑さも和らぎ、秋に近づく毎日の中、気がつくのは銀杏の香りだ。名古屋市内では、街路樹としてイチョウが植えられ、その実が道端に落ちているのを頻繁に見かける。 ただの「植物」だった彼らが、「アベマキ」や「サクラ」、「イチョウ」に変わった。大学4年生になったぼくは彼らのことをより知ってみたいと思い、本書「はじめての植物学」を手にとった。 本書によれば、植物を構成する基本組織は3つ。葉と茎と根だ。このそれぞれが植物の種によって多種多様な進化を遂げている。本書の特徴は、植物の進化の系統図とも言うべき、植物の多様性を足がかりとして、彼らの体構造を丁寧に解説してくれていることである。 例えば「葉」をひとつとっても、その形は楕円形なのか円形なのか、はたまたやじり形なのか。葉の先端は切形か円形か、はたまた尾形なのか。ユニークな葉達にはじまり、根や光合成、茎にまで本書の内容は展開されていく。 本書読了後、ぼくはより身近な存在として彼ら「植物」を感じられるようになった。大学を卒業し、社会人になった後も、彼らとの付き合いを続けていきたいと思う。

古きよきアメリカン・スイーツ(だーまな)

古きよきアメリカン・スイーツ(だーまな)

岡部史 著

平凡社新書 2004

皆さんはアメリカのスイーツと言えば何を思い浮かべますか?私はキャンディやチョコバー、チューイングガムを思い浮かべました。それに現在日本で流行っているカラフルなカップケーキなど。私はアメリカのスイーツは香料をたくさん使っていて味付けが極端だという印象をもっていました。

強大な資本力を誇るアメリカは大量生産されたお菓子やブランドのイメージが強いです。しかしアメリカの土地は一部の大都市以外は広大な田園地帯や山林、荒野ばかりです。本書ではアメリカの所謂田舎に伝わる素朴なスイーツを文化や歴史とともに紹介しています。

本書を読んで面白いと感じた点は、アメリカの様々なスイーツのルーツが本国にない点です。アメリカは移民の混成国家です。そのためスイーツも世界各国から移民と共にやってきました。ですからアメリカの伝統的なスイーツは実に様々です。例えばアメリカのスイーツによく使われるピーナッツバターのルーツはアフリカにあります。プランテーションで栽培されたピーナッツと共にアメリカに連行された黒人奴隷が伝えたものだとされています。

私はスイーツが好きです。好きなものの歴史や文化を知ることはとても楽しいと本書を読んで感じました。

 

 
古川案

皆さんはアメリカのスイーツと言えば何を思い浮かべますか?私はキャンディやチョコバー、チ

ューイングガムを思い浮かべました。それに現在日本で流行っているカラフルなカップケーキな

ど。私はアメリカのスイーツは香料をたくさん使っていて味付けが極端だという印象をもってい

ます。

強大な資本力を誇るアメリカは大量生産されたお菓子やブランドのイメージが強いです。しかし

アメリカの土地は一部の大都市以外は広大な田園地帯や山林、荒野ばかりです。本書では、そ

のようなアメリカの田舎に伝わる、素朴なスイーツを文化や歴史とともに紹介しています。

本書を読んで面白いと感じた点は、アメリカの様々なスイーツのルーツが本国にない点です。

アメリカは移民の混成国家です。そのためスイーツも世界各国から移民と共にやってきました。

ですからアメリカの伝統的なスイーツは実に様々です。例えばアメリカのスイーツによく使われる

ピーナッツバターのルーツはアフリカにあります。プランテーションで栽培されたピーナッツと共に

アメリカに連行された黒人奴隷が伝えたものだとされています。

私はスイーツが好きです。好きなものの歴史や文化を知ることはとても楽しいと本書を読んで

感じました

(最後の段落が小学生レベルなので、もう少し何とかする。)

カラー図解でわかる光と色のしくみ ーなぜ空は青く虹は七色のなのか どうして花は彩り生物は光るのかー(はるか)

『カラー図解でわかる光と色のしくみ ーなぜ空は青く虹は七色のなのか どうして花は彩り生物は光るのかー』

サイエンス・アイ新書 福江純・田島由起子

 

当たり前のことなのに、よく考えると不思議なことは世の中にはたくさんある。なぜ空はなぜ青いのか​?なぜ虹は七色なのか?当たり前のことなのに、理由を聞かれると困る。そんな色や光の不思議をわかりやすく解説しているのが著書である。

色は大きく分けると光源色と物体色の2種類ある。光源色は自らが輝き、色を表現する。物体色は光に照らされることによって色を表現する。光と色はお互いの原理を説明する上で重要な役割を果たしている。

もし「空はなぜ青いの?なぜ虹は七色なの?」と聞かれたとき、今なら喜んで説明しよう。色と光の知識を応用すればさまざまな世界の不思議が理解できるだろう。

 

 

古川案

身の回りの色や光に関して、当たり前のことなのに、よく考えると不思議なこと

は世の中にはたくさんある。なぜ空はなぜ青いのか?なぜ虹は七色なのか?当たり前

のことなのに、理由を聞かれると困る。そんな色や光の不思議をわかりやすく解説し

ているのが著書である。

色は大きく分けると光源色と物体色の2種類ある。光源色は自らが輝き、色を表現

する。物体色は光に照らされることによって色を表現する。光と色はお互いの原理を

説明する上で重要な役割を果たしている。

もし「空はなぜ青いの?なぜ虹は七色なの?」と聞かれたら、今なら喜んで説明し

よう。色と光の知識を応用すればさまざまな世界の不思議が理解できるだろう。

(「応用すればさまざまな世界の不思議」意味がわからないので、別の表現の方がいい)

手紙(いとゆう)

手紙

東野圭吾

 

弟の学費の為に、突発的に強盗殺人を犯した兄。

「殺人犯の弟」という十字架を背負い生きていく弟の苦難の人生を描いている作品である。兄と弟の交流は、拘置所からの手紙によってなされる。兄の状況は主に「手紙」によって知らされ、「加害者の家族」という十字架を背負った弟の人生をもとに物語は進む。

弟は、世間から差別され、不当な扱いを受け、絶望を感じる。

 

私はこの作品を読み、「加害者の家族」の苦しみを初めて知った。「被害者の家族」の話は、ドラマなどでよく耳にするが、加害者の家族にスポットを当てた作品は初めてだった。

多くの読者は、被害者の家族同様、加害者の家族であるこの弟に同情するだろう。私もそうだった。

読後は、気持ちのよいものではなかった。「本当に利害関係者になったら?」「もしその相手と結婚するのならば?」という質問が投げかけられている気がし、鳥肌が立った。

 

古川案

弟の学費の為に、突発的に強盗殺人を犯した兄。

「殺人犯の弟」という十字架を背負い生きていく弟の苦難の人生を描いている作品

である。兄と弟の交流は、拘置所からの手紙によってなされる。兄の状況は主に「手

紙」によって知らされ、「加害者の家族」という十字架を背負った弟の人生をもとに

物語は進む。

弟は、世間から差別され、不当な扱いを受け、絶望を感じる。

私はこの作品を読み、「加害者の家族」の苦しみを初めて知った。「被害者の家

族」の話は、ドラマなどでよく耳にするが、加害者の家族にスポットを当てた作品は

初めてだった。

多くの読者は、被害者の家族同様、加害者の家族であるこの弟に同情するだろう。私

もそうだった。

読後は、気持ちのよいものではなかった。「本当に利害関係者になったら?」「もしそ

の相手と結婚するのならば?」という質問が投げかけられている気がし、鳥肌が立

った。

「殺人者の弟とは関わりたくない」

「殺人者の弟に娘はやれない」

「あなたが殺人者の弟であろうがそんなこと関係ない」

「お前が殺人者の弟であろうが俺はお前と音楽がやりたい」

「商業的にみて殺人者の弟というレッテルは致命的だ」

「殺人者の弟と言われても、正直どう対応していいかわからない、差別したくないから

とりあえず優しくしておこう」

彼を取り巻く人々の様々な声。

彼は肝心なところで「加害者の家族」という十字架を突きつけられ、幸せにはなれな

い。

物語の結末はハッピーエンドではない。誰にでも背負う可能性のある「加害者の家

族」。その十字架が生々しく書かれた作品である。

(同じような内容が繰り返されていて単調すぎる。内容が薄い。)

 

 

 

 

「殺人者の弟とは関わりたくない」

 

「殺人者の弟に娘はやれない」

「あなたが殺人者の弟であろうがそんなこと関係ない」

「お前が殺人者の弟であろうが俺はお前と音楽がやりたい」

「商業的にみて殺人者の弟というレッテルは致命的だ」

「殺人者の弟と言われても、正直どう対応していいかわからない、差別したくないからとりあえず優しくしておこう」

 

 

彼を取り巻く人々の様々な声。

彼は肝心なところで「加害者の家族」という十字架を突きつけられ、幸せにはなれない。

物語はハッピーエンドでは終わらない。誰にでも背負う可能性のある「加害者の家族」。その十字架が生々しく書かれた作品である。

 

愛知大学 経営学部 経営学科 流通マーケティングコース

影法師(のりこ)

 

『影法師』百田尚樹

講談社

 

本書は、家柄や身分など様々な運命に左右された江戸時代の武士2人の物語である。学業、剣術ともに天才と言われた彦四郎と下士の貧しい家に生まれた勘一の一生を描いている。

 

江戸時代は身分制度が厳格であり、高貴な役職に就くためには相当の家柄が必要であった。しかし勘一は下士の生まれでありながら国家老まで上り詰めた。家柄というハンデを跳ね除け実力で昇進した勘一の一生の裏には、いつも彦四郎の存在があった。勘一の影となり生きた彦四郎は、勘一とは真逆の没落した人生を送った。

 

なぜ天才と言われた彦四郎が、自らの人生を投げ打ってまで勘一の人生に身を捧げたのか。その理由は最後まで読んでも、わからなかった。推測するに、彦四郎は勘一に対して友情を越えた思いがあったのではないかと考えた。偶然にして出会った二人は、身分は違えどお互いを尊敬し合っていた。彦四郎は勘一に対して言葉にはしない契りを交わしていたのではないだろうか。

 

没落した人生を送った彦四郎であったが、彼の立ち振る舞いからは仁義を重んじる真の武士の姿を感じた。

 

天才と言われ将来を約束された立場でありながら、影法師となる人生を選んだ理由が明確にわからないからこそ読んだ後に深い余韻を残す作品であった。

 

古川案

本書は、家柄や身分など様々な運命に左右された江戸時代の武士2人の物語である。学業、剣

術ともに天才と言われた彦四郎と、下士の貧しい家に生まれた勘一の一生を描いている。

江戸時代は身分制度が厳格であり、高貴な役職に就くためには相当の家柄が必要であった。し

かし勘一は下士の生まれでありながら国家老まで上り詰めた。家柄というハンデを跳ね除け実

力で昇進した勘一の一生の裏には、いつも彦四郎の存在があった。勘一の影となり生きた彦

四郎は、勘一とは真逆の没落した人生を送った。

(↑彦四郎の影としての役割がよくわからない)

なぜ天才と言われた彦四郎が、自らの人生を投げ打ってまで勘一の人生に身を捧げたのか。

その理由は最後まで読んでも、わからなかった。推測するに、彦四郎は勘一に対して友情を越

えた思いがあったのではないかと考えた。偶然にして出会った二人は、身分は違えどお互いを

尊敬し合っていた。彦四郎は勘一に対して言葉にはしない契りを交わしていたのではないだろう

か。

没落した人生を送った彦四郎であったが、彼の立ち振る舞いからは仁義を重んじる真の武士

の姿を感じた。

天才と言われ将来を約束された立場でありながら、影法師となる人生を選んだ理由が明確にわ

からないからこそ読んだ後に深い余韻を残す作品であった。

 

レベル7(こーじ)

『レベル7』
宮部みゆき 著
新潮文庫 (1993/9/29)

今回私が手に取った本は宮部みゆきさんの「レベル7」というサスペンス小説だ。この宮部みゆきという著者を知っている人は少なくはないだろう。数々の賞を受賞し、今現在も小説を連載をされており、テレビドラマ化もされている。これはつい最近知ったのだが、この「レベル7」も1994年に『愛と疑惑のサスペンス レベル7-空白の90日-』というタイトルでテレビドラマされていたらしい。多くの人を魅了した彼女の小説はどんなに面白いのだろうかと手に取ってみた。
では、この小説の内容にふれていく。物語は、あるアパートのベットで目を覚ます男から始まる。ベットで目を覚ました男の目に映るのは、見知らぬ部屋、隣で眠る知らない女性、腕に掘られている謎の数字。そしてここはどこなのか、何故ここにいるのか、自分が誰なのかすらわからない状態だった。目を覚ました女性も同じように記憶がなかった。また、この物語には主人公が2人おり、もう1人は突如行方不明になってしまった友達を探す未亡人だ。接点のない2人の主人公だが、唯一共通する謎の「レベル7」という数字を頼りに、謎を解き明かしていく話になっている。
作中には非常に謎が散りばめられており、ちょっとした恐怖も味わえる。これぞサスペンスだ!と言えるくらいの作品であると思う。最初は2人の主人公の話が交互に出てきたので混乱はするが、接点のない2人の話が、物語が進み次第にひとつの真実にたどり着いた時は、非常にスッキリとした。読破後、冒頭部分を読み返してしまう程「そうだったのか・・・」と思えるとても面白い謎だった。

日本は戦争をするのか―集団的自衛権(よし)

日本は戦争をするのか―集団的自衛権
岩波新書
半田滋著

私は戦争というものを知らない。厳密に言えば、戦争がどういうものかということを歴史として、知識として知っているが体験したことがないため、戦争を身近なものとして感じたことがない。そもそも私は日本が他国と戦争をすることはありえないと思っていた。しかし安倍晋三政権によりそれは現実となりつつある。

本書には長年にわたり日本の防衛について取材を続けてきた、著者半田滋氏が安倍政権の悲願といわれている集団的自衛権の行使が及ぼす影響についてその経験から鋭く説いている。著者が問題視していることのひとつとして集団的自衛権を行使することで第九条の改憲が行われることだ。第九条の改憲が行われれば自衛隊は武力行使が行えるようになり、戦争を行う国防軍へと姿を変えるだろう。自衛隊は第九条を柱としていままで行動してきたからこそ国内外での「後方支援」や「復興支援」で高評価を得ていた。その第九条を改憲して集団的自衛権を行使することは、いままで積み上げてきたものを壊すことと同じではないのだろうかと著者は語っている。本書の最後の文にある、「集団的自衛権の行使容認に踏み切っても、犠牲になるのは自衛官であって政治家ではない」という著者の言葉が印象に残っている。この言葉には著者半田滋氏の思いが強く込められているのではないかと私は思う。

本書はぜひ私と同じような戦争を体験したことのない人にぜひ読んでもらいたい。そしてどんな結論に至ったかぜひ聞かせてもらいたい。

 

古川案

私は戦争を知らない。厳密に言えば、歴史や知識としての戦争は知っていても、体験したこと

がないため、身近に感じたことがない。そもそも私は、日本が他国と戦争をすることはありえな

いと思っていた。しかし安倍晋三政権によりそれは現実となりつつある。

集団的自衛権の行使は、安倍政権の悲願といわれている。本書では、長年にわたり日本の防衛に

ついて取材を続けてきた著者「半田滋」氏が、集団的自衛権の及ぼす影響について鋭く説いて

いる。著者が問題視していることのひとつとして集団的自衛権を行使することで第九条の改憲が

行われることだ。第九条の改憲が行われれば自衛隊は武力行使を行えるようになり、戦争ができ

ない国であったはずの日本が、戦争を行う国防軍へと姿を変えるだろう。自衛隊は第九条を柱

として行動してきたからこそ、「後方支援」や「復興支援」に関して国内外から高評価を得てい

た。その第九条を改憲して集団的自衛権を行使することは、これまで積み上げてきたものを壊

すことと同じではないのだろうかと著者は語っている。本書の最後にある、「集団的自衛権の行

使容認に踏み切っても、犠牲になるのは自衛官であって政治家ではない」という言葉が印象に

残っている。この言葉には著者半田滋氏の思いが強く込められているに違いない。

本書はぜひ私と同じように戦争を体験したことのない人にぜひ読んでもらいたい。そしてどのよ

うな感想を抱いたのかぜひ聞かせてもらいたい。

ミッキーマウスの憂鬱(よし)

「ミッキーマウスの憂鬱」
新潮文庫
松岡圭祐著
最初に言っておきたいことがある。それは、この物語はフィクションであるということだ。
私がこの本を読んだきっかけはその強烈なタイトルに惹かれたためだ。夢と魔法の国ディズニーランドのシンボルキャラクターであるミッキーマウスの憂鬱とはどんな内容なのだろうか。私は胸を躍らせながら本書を読み進めた。

実際読んでみるとミッキーマウスの憂鬱というよりも、ミッキーマウスを支える周りの人々の憂鬱だった。本書の内容としては、空気の読めない主人公、後藤大輔がディズニーランドの準社員つまり裏方のアルバイトとして採用されてからの2日間が描かれている。働き始めて初日の大輔はディズニーで働ける、ということい強い期待を持ち仕事に励もうとしていた。しかしそこにあったのは夢や希望などではない、ただの現実であった。大輔が配属されたのはキャストの衣装や小道具などを扱う美装部という場所だ。 “中の人”などいないとされるディズニーで”中の人“を手伝うという仕事に矛盾を感じながらも、大輔は自分の果たすべき役割を覚え、自分の仕事の意味を痛感し、成長していく。

タイトルだけを見ただけでは、この本のディズニーランドの秘密を暴いた暴露本なのか、と思われてしまうかもしれないがそれは違う。この本に書かれている内容は最初に言った通り、あくまでフィクション、事実ではないしミッキーマウスに“中の人”など存在しない。ディズニーが好きな人の夢を壊す作品などではない。そのためディズニーが好きな人にも問題なく読んでもらいたい。

 

古川案

 

最初に言っておきたいことがある。それは、この物語はフィクションであるということだ。

私がこの本を読んだきっかけはその強烈なタイトルに惹かれたためだ。夢と魔法の国ディズニ

ーランドのシンボルキャラクターであるミッキーマウスの憂鬱とはどんな内容なのだろうか。私は胸

を躍らせながら本書を読み進めた。

実際読んでみるとミッキーマウスの憂鬱というよりも、ミッキーマウスを支える周りの人々の憂

鬱だった。本書の内容としては、空気の読めない主人公、後藤大輔がディズニーランドの準社員

つまり裏方のアルバイトとして採用されてからの2日間が描かれている。働き始めて初日の大輔

はディズニーで働ける、という強い期待を持ち仕事に励もうとしていた。しかしそこにあった

のは夢や希望などではない、ただの現実であった。大輔が配属されたのはキャストの衣装や小道

具などを扱う美装部という場所だ。 “中の人”などいないとされるディズニーで”中の人“を手伝

うという仕事に矛盾を感じながらも、大輔は自分の果たすべき役割を覚え、自分の仕事の意

味を痛感し、成長していく。

タイトルからは、ディズニーランドの暴露本を想起させるがそれは違う。この本に書かれている

内容は最初に言った通り、あくまでフィクション。事実ではないしミッキーマウスに“中の人”な

ど存在しない。ディズニーが好きな人の夢を壊す作品などではない。そのためディズニーが好

きな人も問題なく読むことができる。